東京ゼロエミポイントで一番得をするのは誰?

子育てエコホームや先進的窓リノベなどの助成は、通常の補助制度とは異なって、手続きは事業者にお任せとなるため、消費者の申請に伴う労力が下がるというメリットがあります。
これは、消費者の申請手続き能力のギャップ解消を目的として、事業者が手続きを代行するというスキームです。

そこで、はてと気がつくのは、ギャップがあるのは消費者だけではないということ。事業者だって、事務能力には差があります。
だから、事業者に申請事務負担を押し付けると、今度は事業者の力によって、消費者が振り回される可能性が出てくる。
自力で申請できる消費者が力のない事業者に発注すると、できるものができなくなり、不満の種になる。
さて、本題の東京ゼロエミポイント制度改定です。
これまでは、どの業者に発注しても、消費者が自力で書類を集めて申請することで完結していました。あえて注意点を添えるなら、家電リサイクル券をきちんと交付してもらうことくらいでしょう。
必要書類はそれほど難しくなく、あとはスマホでも申請が完結する、かなり使いやすい仕組みでした。事業者は書類の発行さえしてもらえぱ、補助申請は必要なら消費者が勝手にやるもので良かったわけです。

そこに2024年10月からの制度改定では、子育てエコホームばりの、事業者申請のスキームを入れ込んだのです。
先のブログでお伝えした通り、長期使用家電の補助額が上乗せされるのはとても良い話です。
しかし一方で、せっかくであれば、安い販売店から購入してさらに補助を受ければ、買い替えのハードルは下がるもの。
ところが、手間を惜しむ安売りのネット販売店は、今のところほとんどゼロエミポイントの登録店舗になっていないようのです。
おそらく、子育てエコホームなどの分離発注手続きも消極的なので、そういった面倒なことはせず価格勝負のみというポリシーのところが多いのでしょう。
結果として、公開されている登録店舗は大手家電量販店と、販売価格など明示していない地場の電気屋さんが大半を占めるよう。
結局、それらのお店ではそれほど安く購入できないので、東京ゼロエミポイントを獲得するのと、安売りのネット販売店とで、金額は大して変わらないか、むしろネット販売店が安いくらいとの印象です。
そうなると、この制度で誰が得をするのか。
もしかすると、補助金の効果は各販売店による価格の差を埋めただけかも知れないです。
制度の趣旨としては、消費者の負担軽減による買い替えの後押しにより、エコ家電を選択し、全体でのエネルギー消費が少なくなること。
しかしながら、そのメリットは、まず購入した消費者が電気料金の低下として享受するわけだから、消費者が申請等の手続きを負担するのもおかしくない話だと思うのですが、制度改定で消費者負担は無くなってしまった。
ところで全く根拠が無いものの、家電販売量は現在のところ相当割合がネット販売店にシフトしていると予想。
彼らは、手間を掛けず実店舗を持たず、低コストで量を捌くビジネスモデルです。
その他の店舗は、言ってみれば比較的高コストな構造にある。
それで、ゼロエミ制度改定により、その高コスト構造の店舗に補助金を注ぎ込んでいることにはならないか。
仮に、安売りのネット販売店との金額差が無くなったとすれば、ただ単に流通経路が少しシフトするだけで、消費者の家電購入にあたる負担額はそれほど影響が無い。
例えば、賢い消費者がネット販売店限定としていたのを、量販店も選択肢に入れるようになっただけで、実際の購入金額は変わらないなど。
つまり、買い替えの促進を目指し、購入最低金額のハードルを下げたつもりが、実はそれほど下がらないという可能性があります。
まあそれでも、お店でしか買えない消費者(ネットは苦手)の負担額が下がるのは、意味があるとしておきましょうか。
さてしかし、
この制度でニンマリとしているのは、家電メーカーと大手家電量販店ではないかと思うのです。
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